さっき送ったライン、もう見たかな。

そっとスマホをタップし、アプリを開いた私の眼に《既読》の二文字が飛び込む。

……読んでくれたんだ。返事はないけど。

ソワソワしていた胸が少し穏やかになる。

「お仕事、あまり無理をしないで下さいね」

……大丈夫なんだろうか、身体は。

そう思いながら眼を閉じているうちに、いつしか私は眠りに落ちていった。


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カタンという小さな物音で目覚めた。

……良い匂い……。

これは……圭吾さんだ。圭吾さんが帰ってきたんだ。

慌てて眼を開けて初めて、自分がソファに横になったまま眠ってしまっていた事に気付く。

ゆっくり身体を起こすと、圭吾さんが冷蔵庫から何かを取りだすところだった。

「あっ」

圭吾さんの声と同時にペットボトルが落ちた音がして、私は咄嗟に立ち上がった。

「圭吾さん、大丈夫ですか?」

私の声に、キッチンの圭吾さんがゆらりと振り返った。

五つ設置されているトップライトが均整のとれた圭吾さんの姿を綺麗に照らしていて、私は少しだけ見とれた。

そんな圭吾さんは、いつもよりも動作がゆっくりで様子が変だ。

「圭吾さん?」

心配になってキッチンに足を踏み入れた私を圭吾さんは黙って見つめたから、私は彼の目の前まで歩を進めた。

そこでようやくペットボトルの口から流れた水が圭吾さんの足元を濡らしている事に気付いた。