「…っ…」


声を押し殺す。
せんぱいに、迷惑を掛けない為に。
これ以上、嫌われないように…。


きっと、せんぱいは凄く怒るだろう。
自ら、罠に嵌った私を許してはくれないだろう。


そう思ったら、居た堪れなくなった。


「未麻…」


びくっ


半ば、放心状態の私の肩に、せんぱいはポンと温かな手を置いてくれた。
そして、困ったように何かを言い掛けて、小さく呟いた。


「悪かったな…巻き込んで…」


まるで、それは別れの言葉のように聞こえたから、私はハッとしてせんぱいの顔を見上げる。


そうすると、せんぱいはなんとも言えない顔をしていた。

だから、私は…咄嗟に。


「別れないから!!」


そう、叫んでいた。

身体はまだ小刻みに震えている。
けれど、意識はしっかりしていた。