一体せんぱいの身に何が起こったのか…。
私は今すぐにでもそこへ向かいたい気持ちを無理矢理押し込んで、黒板に浮かんでは消えていく、白いチョークの先だけを見ていた。


「未麻…?やだ、ちょっと、何その顔。真っ青じゃん。何かあった?先生に何か言われたの…?」


授業を終え、それぞれが思い思いに過ごす休み時間。
私は、自分の元へやって来た円香の声で、ハッと我に返った。
でも、これを言ってもいいものか、私は言い淀む。
そんな私の異変に気付かない訳がない円香は、空いてる前の席どかっと座り込むと、私と目線を合わせてくる。


「いい?未麻。1人で抱え込んじゃダメだよ?それが、せんぱい絡みのことなら、尚更。」

「円香…」

「何があったの?場合によっては、由井せんぱいに助けてもら…」

「それは、だめ!」

「未麻…?」

「…ご、ごめん…でも。ダメなんだ。それじゃ…」


私は弱々しく首を横に振り、そのまま項垂れる。


私は、まだ確実なものをせんぱいからもらってない。
だから、それを掴む為にも私の手でせんぱいを連れ戻したかった。