「お前、AvidのKAZUが好きだって言ってたろ?」

「あ、えっと…はい……?」


薫せんぱいの質問の意図が分からない。
だから、疑問を疑問系で返すと、くくっと楽しそうに笑われた。


「だからだよ」

「…え?」

「ま、いいじゃねぇか。俺はお前が好きで、お前は俺が好き、だろ?」

「も、もう!それ、答えになってないですよ?!」

「そんなことより、未麻…もう一回…」



教室の窓際。
その壁にゆっくりと押し付けられた、体。
痕の残った手首を優しく拘束して、そのままキスで縫い止められる。

痛みなんか忘れるほど、甘い甘いキスはさっきの噛み付くような勢いはなく、まるでそこから蕩かされるようなふわふわとした優しさを宿していた。
私はあまりの甘さに瞳を閉じて…そのキスと雰囲気へと身を投じてしまう。


それが、自分の疑問を解決してくれる訳じゃないと分かっていながらも…。
そして、その日はぎゅうっと手を繋がれて、家までしっかり送られた。