せんぱいの、まだ私が知らない部分を、早く知りたい。

でも…「本当」の私をせんぱいが知ったら、どう思うんだろう?


私は、歪んだ世界で生きてる。
だって、愛情ってものを知らない。
せんぱいが私に注いでくれるものは、別格だと思っているけれど…それでも、それが本当に「愛情」なのかは分からない。


私には、孤独しかなかった。
物心ついた時から、食べ物と寝る場所は与えてもらっていた、でも、名前をちゃんと呼んでもらった記憶なんて一つもない。

父親にも母親にも、それぞれ別の人影が常にあった。
偶に家に帰って来ても、二人が鉢合うことはなく…そんな二人が私を見る瞳はいつも冷たかった。


「私を産んだのだって、気紛れみたいなもんだったんだろう、な…」


自嘲する呟きは誰にも届けられない。
だからそんな温もりのない家には、帰りたくなくて。
中学の頃から、路上なんかで歌う事に目覚めた。
元々歌う事が好きだったから…それで、自分を埋め尽くしたかったから。