「え、え、えぇ?!」
「嫌か…?」
「や、嫌とかそういう問題じゃなくって、あのっ」
「嫌じゃないなら、良いって事だな?」
「え、あの、ちょ、か、薫せんぱっ」
「今日からお前は、俺の女だ。他の誰にも渡さねぇ…傷つけさせねぇ…」
私の言葉なんて、殆ど聞かずにとんとん拍子で付き合う方向に話が進んで行ってしまう。
でも、自信たっぷりそうな言葉の割には、薫せんぱいは私に顔を見せようとしない。
私は、遥か頭上の薫せんぱいの顔をぐぐぐっと背伸びして見ようとするも、失敗してふらついてしまった。
「…っ。何やってんだよ?」
「え、と…薫せんぱいの顔が見てみたくて…?」
「…それ、誘ってんのか?」
「え?!」
「くくく、冗談だ、ばーか」
「も、もう!」
「けど、俺は本気だ…」
「…っ」
なんなんだろう、見つめられると逃げ出したくなるのに、見つめられていないとどうしようもなく切なくなるのは?



