がしっ



倒れること前提に瞳を閉じていた私には、何が起こったのか最初は分からなかった。
でも、誰かに助けられたことだけは、すぐに理解出来てバッと顔を上げた。


「す、すみませっ!」

「っと。危ねぇな。大丈夫か?」

「はい…って…え?」

「あぁ?なんだよ?」

「由井、せんぱい…?」

「…なんだ、お前、俺のこと知ってんの?つーか、お前もしかして……『前原未麻』?」

「…え、なんで私の名前?」

「あー…別に。今のは忘れろ…」

「???」

「おら、お前アイツらのファンなんだろ?お目当ていなくなっちまったぜ?」

「ええっ!………信じられない…」

「で、お前Avidの誰推しなん?」

「!由井せんぱいもAvidのファンなんですか?!」

「あ?…あー…まぁな…」