私、綾小路忍(あやのこうじしのぶ)、今年27才になったばかりの前野コーポレーション取締役社長、前野要人(まえのかなめ)の秘書…を務める3年目。

社長秘書というスキルも大分身付いてきて、最近では色々と個々で仕事を任されるようになって来た。
職務の具体的内容といえば、大体が社内外の人との大まかな連絡や応対。
そこから文書化しなければならないものは書面として資料を作成して、その際に必要である細かな情報の収集と、収集した全ての情報を整理し管理する。
そして週ごと…大抵なものは月ごとだけれど…にスケジューリングを組み立てて、社長の仕事がスムーズに進むサポート業務全般を行っている。

その他にも、大小関係なく細々とした会議や月に何度かあるパーティー準備、来客の接待、経理事務などを行うこともあったりする。


まぁ…要は、社長の雑用係みたいなものなんじゃないかと、近頃はそう思う。

でも、嫌な仕事ではけしてない。
寧ろ、やり甲斐があって楽しく、自ら進んで志願したくらいだった。
だけど、入社試験からあれよあれよとばかりに、話は転がっていって…。

気付けば、社長付きの専属秘書になってしまってた。
…異動命令では、確かにグループ秘書課の、『第三秘書室担当』だった筈なのに。