【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜

そして、一時間の間…。


いつもは彼女がいるはずの執務室で、時間を潰すことにする。
この部屋ならば、俺が今抱えている案件も全てパソコンにデータがクラウドされているから。


かちゃん、と席に座って煙草の代わりに飴玉を口に放り込んだ。
けれど、どうにもこうにも向こうの部屋の中が気になって仕方がない。
いくらジュリアンに溺愛しているパートナーがいると知っていても……それでも、彼女が俺以外の男と二人きりでいるなんて、耐えられなかった。

もっとスマートなはずなのに、この体たらく。

体制を整えようと、髪を掻き上げるとそこにトントン、とドアをノックする音が聞こえた。



「さぁ、要人の愛しの君を、最上級に仕上げたわよ」


そう、ウィンクされ柄にもなく鼓動が跳ねた。