【完】V.I.P〜今宵、貴方だけの私になる〜

ゆっくりと、だけど確実に変わる彼女の反応が、またとてつもなく愛おしくて堪らない。
益々困惑気味にジュリアンと俺とを交互に見る彼女は、何かを察したのか、ジリジリと後退った。
けれど、それはジュリアンによって阻止される。


「あらあら。逃がさないわよー?こんな逸材、どこに隠してたのよ、要人?あんたには勿体無いくらいだわ!」

そう言って彼女の近くに素早く寄ると、驚く様な早さで俺の向かいの席に座らせる。

「さぁ、始めましょ。って、ちょっと!要人?ここから先は男子禁制よ!」

「む。なんでだ?」

「無粋な男ね。それぐらい察しなさいよ」

と、ジュリアンは俺を顎でここから出て行けと指図する。
その態度には納得はいかなかったが、一度機嫌を損ねると大変なことになることを知っているから、俺はハイハイと両手を広げて降参した。