おろしたてのパンプスがすれて痛むかかとにも、ようやく今気づいたところ。


「最悪……」


つぶやく声にすら力が入らない。

四月の空には雲がひとつ、のんびりと流れてゆく。

ここは行き止まりの道らしく、小さな古い平屋建ての家の前にある木製のベンチに腰かけていた。


……いつからここに座っていたのだろう。


どこをどう歩いてきたのかすら思い出せないなんて、よほど呆然としていたのかも。

座っているベンチの右奥には行き止まりの道が見え、石でできた階段があるだけ。

正面には手入れされていない畑があり、駅前の風景とはずいぶん違っている。


見覚えのある景色ではなかった。