紙を手に取り開くと、なんとなく見覚えのある香織の字。
その手紙を読んで、私は口の中に入っているものを吹き出す所だった。
ムセながら台所へ行き、コップに水を注いでゆっくりと飲む。
涙目になりながらも落ち着きを取り戻し、席へ戻りその手紙をもう一度確認する。
“これ裕治くんの忘れ物。きちんと届けること。あんたの気持ちが変わってないことを昨日確認できてニヤニヤしてたわよ。幸せになることを願ってる〜”
その下に書かれていたのは……裕治くんの今住んでるアパートの住所らしい。
どこでこんな情報入手したのよ香織……!!
アタフタする私を見て、母は首を傾げた。
「どうかしたの?」
「う、ううん!何にもない!」
流石に母にバレるのは、恥ずかしいものがある。
冷静を装ってご飯を食べ終わると、紙袋を持って部屋へと駆け込む。