鼻歌を歌いながら作業する母を横目に、朝ごはんを口にする。
朝ごはんが用意されてるって本当に有難いなあ……なんて、母の有り難みを感じながら一口一口噛み締める。
野菜たっぷりの味噌汁が体に染み渡っていくのを感じてほっと一息つく。
すると母が何かを思い出して、手を叩いた。
「そうそう、雪帆に届け物あったんだった」
そのままリビングへ出て玄関の方へ行き、戻ってきたかと思えば、その手には見覚えのない小さな紙袋を手にしていた。
箸を止めて、その紙袋を見る。
「これ、香織ちゃんが朝届けてきたのよ」
「香織から?」
そっと差し出された紙袋を手に取り、中身をそっと覗くとそこには腕時計が入っている。
しかも、男物だ。
私の持ち物のわけがない。
するとその腕時計の横に紙が二つ折りにされて入っていた。