そんな私を支えるかのように、抱きしめる強さを強めた裕治くんはそっと私の髪を撫でた。

吹き抜けていく風が、妙にくすぐったい。

しばらく抱きしめられたままでいると、ゆっくりと腕の力が弱まる。

そっと裕治くんを見れば、真剣な瞳で私を見ていた。

バチリと目が合えば逸らさずにはいられない。

きゅっとブローチを握りしめると、微かに虚ろになった目で私を見て、裕治くんは何かを言いかけたかと思えばゆっくりと歩き出す。

どうしていいか分からないこの状況に、私はただ裕治くんの後を追うしかできない。

まだ車通りが、多い大きな道路へと出るとすぐそこに駅が見えた。

このままどうしたらいいものかと考えていると、ドンと裕治くんの背中に鼻をぶつけた。