これ以上裕治くんに迷惑かけちゃダメ、笑わなきゃ。

まだオロオロしてる裕治くんを見て、自然と笑みが溢れた。


「ごめん、ごめん!なんか懐かしさに嬉しくなっちゃって、その、自分でもビックリしてる」

「てっきり仕事が辛すぎてとか、俺の提案したことが嫌だったとか、色々考えが回って……」

「ううん!そんなこと絶対ないから大丈夫。ありがとう、裕治くん」


私のその言葉に安心したのか、ハンカチを鼻にグリグリと押し付けてきた。

突然のことにびっくりしたけど、でもおかしくなって二人して笑い合った。

その後は何もなかったかのように自然に会話をして、連絡先を交換して、楽しい時間が続いた。

でもチラチラと時計を気にした裕治くんを見て、休憩時間が終わるのを察した。


「私この後行かなきゃ行けない場所があるの。裕治くんも、午後も仕事でしょ?」

「ああ。じゃあ、そろそろ出るか」


そう言って立ち上がり伝票を取られたことを気にしつつ、裕治くんの後に続いてレジへと向かう。

財布を出そうとするけど、裕治くんがその手を止めてきた。


「裕治くん、私も払うよ!」

「いいって。おかえりなさいってことで俺に払わせて」


そう言って会計を始めた裕治くんに、渋々引き下がることしかできない。

ここで食いついてもグダグダなりそうだし、明日の夜何かお礼のものでも買ってこっそり渡そう。