沙月と名乗ったその少女は、女子にしては背が高く、長い髪を一つにまとめていた。高くくくっても肩甲骨ほどまでのびる髪は艶のある黒髪だ。 皆、個人差はあれど、新しいクラスの仲間に興味があるようだった。 しかし、誰も彼女に話しかけない。 その原因は彼女のまとうオーラのせいだろう。 話しかけたいが、緊張して話しかけられないのが実質だ。 安易に近付けない雰囲気の彼女は、結局その日一日誰かと話すことはなかった。