魔王と王女の物語 【短編集】

「もしかして邪魔したか?」


まさにお邪魔虫になってしまったのはコハクで、リロイとラスを伴って現れたため、ディノはソファから降りてかしずくと、リロイに深々と頭を下げた。


「国王陛下…」


「ああそういうのしなくていいよ。今の僕は陛下業から離れてるから」


「陛下業…」


思わず笑ってしまったディノは、リロイがじっとアマンダを見つめていることに気付いて不安になった。


「あの…陛下…」


「…彼女は魔物だ。言葉も話せないし今は満足に歩きもできない。君は今後彼女をどうするつもり?」


――その問いに関してはアマンダも気になっていたため、ディノのマントを握って注意を引いた。

…正直言って今後の見通しなどまだ全然考えていなかったディノは、少し首を振って正直にそれを話した。


「まだわかりません。ですが彼女のことは大切です。僕は…彼女に一目ぼれしたんです。助けたいと思った。だから…」


「父君やエマには彼女の正体を話すつもりは?」


「魔物だということを話せば殺されます。ですからそこはなんとか誤魔化しながら…」


「…そう。僕は彼女が何か悪さをしなければ殺すつもりはない。ラスの意思を尊重したいからね」


「リロイ、ありがとうっ」


ラスがリロイに抱き着くと、早速それを引きはがしにかかった魔王がにっこり。


「俺たちは明日発つけど、まあこのガキ宛てにどうなったか手紙でも出せよ」


ガキとはリロイのことらしく、一体この男は何者なのだろうと不審がりながらもディノは頷き、コハクにも頭を下げた。