ヤツの名前は、七咲飛鳥(ななさき あすか)。





私の後輩であり相川さんの先輩である彼は、社内でも有名なチャラ男。




きりりと整った眉に、外人顔負けの高すぎる鼻。



清潔感のある黒髪に、いつも綺麗にアイロンがけされたシャツ。




学生時代にバスケをやっていたとかで180cmはあるであろう高身長。




気さくでいつもニコニコしている彼は人当たりもよく、仕事もできる。




影では女子社員から王子と呼ばれ、それを知ってか知らずかこうして優しさを振りまいているこいつが、私は苦手なのだ。





「七咲さんにそう言ってもらえると元気でます!」




「ならよかった。じゃあお昼は気分転換に外に食べに行かない?奢るよ」




「きゃ~!!是非っ!」




きゃっきゃと隣で繰り広げられる会話に頭を抱えながら、パソコンの画面と睨めっこする私に、再び七咲が声をかける。




「あ、よかったら篠田さんも一緒に」




「結構です」





なんで貴重な昼休みを七咲なんかと過ごさなきゃいけないのよ。