【短編】とある悪い日の話

「ねえ七咲」



「何ですか」



「私、いい日と悪い日って交互になってると思っててさ」



「はい」




「昨日、人生最悪の日だった」





おじさんにサンドイッチになったり、後輩のミスで怒られたり、きっと結婚すると思っていた相手に裏切られて、七咲に弱みを見せて。




こんな悪い日久しぶりって、思ってたけど。






「七咲がいてくれれば、今日はいい日になりそうな気がする」







きっともう、いい日は始まってる。







「…それはデートのお誘いと受け取って大丈夫なやつですか?」




「さあ。自分で考えてよ」






お酒で回らない頭。




鼻を通り抜ける火薬のにおい。





目の前で、真剣な顔をして私を見つめる、七咲。




もしかしたら、朝起きて後悔するかもしれないけれど。






そうやって私が後悔する度に、きっと七咲は。






「後悔、させませんから、俺」






ほら、きっとこうしてまた私の1日を彩ってくれるから。








どんな悪い日だって、きっと、きみといれば。






fin.