誠はその日の夜、全く寝付けず、スマホを眺めているうちに眠気に襲われようやく寝ることができた。
後悔は計り知れないほどした。
明日合わせる顔がないと思い、学校に行くかすら迷ったほど。
しかし誠は、言った内容を忘れていても、それが本音であることだけはわかった。
気づかぬ内に自分の本音が漏れ出てしまったのだと思った。そう、思いたかった。
寝ることができた、と言っても夜中の2時半だったため、朝起きるとドッと疲労感が襲って来た。
学校前の駅に着き、ドアが開いて足を踏み出した時だった。
「あ、まこちゃん!おはよ〜、なんか疲れてる?」
「成海、おはよ。あーちょっと、寝不足。」
「八木さんだよね?おはよう。」
「小木先輩…おはようございます。」
成海と昇李、付き合ってまだ1週間も経たないというのに堂々と手を絡めて登校。
誠は平然としていたが、内心驚きすぎて逆に言葉が出なかった。
人は付き合うと、少しも隠す気は無くなるのだろうか。
しかも相手は学校1モテるであろうあの小木先輩なのだから、3年の女子から何か言われるんじゃないか、ぐらいの警戒心はあるのだと思っていた。
「なると昇李先輩の朝練の時間が一緒だから、一緒に登校しようってなったの!」
「へぇー、よかったね。」
「うん!夢みたいだよ〜。」
「成海ちゃん、ちょっと恥ずかしいな。」
「あっ、ごめんなさ〜い。つい!」
目の前で繰り広げられる意味不明なやりとりに、誠は頭を抱えることしかできず、疲労は溜まる一方だった。

