「だとさ。ほら、姉貴もいつまでもオタオタしてねーで、ちゃんと自分の気持ち伝えろよ。じゃーな」
さっきまで、殺気に満ち満ちていたヤツとは思えないくらい爽やかな笑みを溢して、李弥の頭をぽんっと叩くと、弟はひらひら手を振って去って行ってしまった。
俺は状況が把握出来ずに、ぽかんとしてしまう。
「え?え?」
「ごめんなさい、紘汰くん…」
「り、み?」
「紘汰くんの事、私、試してた…」
「へ…?」
泣き泣き話す李弥が、やっぱり凄く愛しくて…俺はその、可憐な口唇から紡ぎ出される次の言葉に耳を傾けた。
メニュー