【短】キミを好きだと叫んでみたら

「…また、あんたか。邪魔だよ。帰ろうぜ、姉貴。そんなの放っといて」

「え、ね、ちょ…」

「いいから」


ぐいっと李弥の手を取って、俺の事を置いて行こうとする弟に、俺は思わずはっきりとこう言った。


「今、李弥と俺は大事な話してるんだって。頼むから話だけでもさせてくんない?」


その言葉に、ギロリと向けられる弟の視線。
それに対して怯む事なく俺はその視線を見つめ返した。


「…姉貴は?姉貴は、こいつと話したいわけ?」

「え?…えと…」

「言い淀むって事は、話す事ない訳だよな?」

「でも…」

「ほら。帰ろうぜ。時間の無駄だ」

「李弥…」

「ごめんね?紘汰くん…」


折角、折角仲直りが出来そうな雰囲気だったのに。
弟の登場で、滅茶苦茶になってしまった。


どんどん離れてく、李弥との距離。