【短】キミを好きだと叫んでみたら

ソワソワとしながら午後の授業を終えると、皆が教室からはけて行くのを今か今かと待って、李弥の待つ隣の教室に向かった。


わぁ…なんか…綺麗だ、な。


少し早い夕暮れに、照らされた李弥は凄く儚げで。
思わず感嘆のため息を吐いてしまった。


「紘汰くん?」

「あ、あぁ。ごめん、俺に合わせて放課後時間取らせてちゃって」

「ううん。私こそ、ごめんね?なんか意地張っちゃって…」

「いや、大丈夫。あのさ、あの!俺…昨日はごめん!李弥の事泣かせるつもりなんか、これっぽっちもなくて。勝手にヤキモチ妬いて…」

「紘汰くん…」

「あの、あのさっ」


と、ぎゅっと瞳を瞑って、李弥の前に手を勢い良く差し出す。

「俺、李弥のこと…っ」

「姉貴…」


今、まさに2度目の告白しようとしていた俺に、容赦なさ気なその声の持ち主は…李弥の弟だった。