【短】キミを好きだと叫んでみたら

そして、また分岐点。


まだ、李弥がそいつといたら、俺はどうにかなってしまうかも。

だけど、視界の先には一人きりでいて欲しい…という願いも虚しく、やっぱり親しげに笑顔を振り撒く李弥の姿があった。


相手は…学年が下だろうか?
なんとなく、真新しさを感じるワイシャツを風になびかせて、李弥の隣を陣取っている。


「李弥!」


思わず出た、大きな声。
それに対してびくんっと震えた李弥の肩。

恐がらせるつもりなんて微塵もなくて…。
ただ、振り向いて欲しかっただけなのに。


「こ、紘汰くん?」


李弥は、そいつの後ろにつつつ、と隠れるようにして俺の名前を呼んだ。