【短】キミを好きだと叫んでみたら

「あー!くそっ!マジ情けねぇの。けど…こんなんじゃ、駄目だろ」


そう誰に言う訳でもなく呟いて、もう一度俺は李弥を見掛けた道の方を向いた。
そして、全力で走り出した。


息が切れる。
鼓動が早くなる。
苦しくて苦しくて、何度も立ち止まりそうになるけれど…。


今は、キミを丸ごと攫いに行くしかないから。
それくらいしか、術がないから。


「相手が誰でも、怯まねぇぞっ!」


転びそうになりながら、跳ねる呼吸を呟きに変えた。