「……モテモテ?」

「あはは、確かに彼方最近凄いからね……学校中の女の子の的だよ」

「……柚月にモテなきゃ、意味ない」

「へ?」


ポツリと呟いたと思ったら、少し眠たそうな足取りで自分の席へと向かった彼方。


私にモテなきゃって……


「……ぅっ」


言葉の意味を理解して、自分の顔が熱くなるのを感じる。


そんな熱を誤魔化すように、私は急いで自分の席についた。



「──本日の欠席者は一名、ですか……彼がお休みするのは珍しいですね」



教室全体を見回しながら、先生が出席棒にチェックを入れる。

私の左隣……彼方は右隣の席なので、それとは反対方向の席が空席になっていることから、今日の欠席者は彼なのだろう。


確かに彼が欠席するのは珍しい。

珍しいと言うより、一緒のクラスになって初めて見るかもしれない。