「か、彼方、誰か来ちゃうよ……!」
「来たら、その時は……その時」
優しく優しく、私の髪を撫でていく。
ここ、教室なのに……っ
「柚月が一緒にいてくれて、柚月が離れないでいてくれて……凄く嬉しかった。柚月だけは本当の俺を見てくれてる……柚月だけは、ちゃんと理解しようとしてくれてるんだって」
「そんな、大袈裟なことじゃないよ」
「でも、俺は凄く嬉しかったから……だからこそ、柚月が俺から離れたらって考えただけで、頭がおかしくなりそうで……」
「いっそどこか閉じ込めちゃいたいくらい」と囁かれた声は、甘く魅惑的で、頭の中にじわりじわりと浸透していく。
「でも、柚月の嫌なことは絶対にしたくないから……ねぇ柚月、ずっと柚月の傍にいたいから、早く俺のこと好きになって?」
「……ぁっ」
キス、できてしまいそうな距離だった。



