「ねぇ、柚月」

「ん? どうしたの彼方?」


帰る準備をしていると、ちょいちょいと制服を引っ張られる。

見ると、彼方が心配そうに私の顔を覗きこんでいた。


「柚月、凄く難しい顔してる……もしかして英語のテストのこと? 英語苦手だって柚月前に言ってたよね?」

「心配と言うか……かなり不安です」

「じゃあ、一緒に勉強する?」

「一緒に?」

「英語、得意だから……分からないとこあったら、教えてあげられるかなって」


英語、得意だったなんてはじめて聞いたけど……

でも一人で勉強したってすぐ投げ出しちゃうだろうし、教えてもらえるなら、それほどありがたいことはない。