「──……さて、来週は中間テストです。まさか忘れてましたまだ何も勉強してませんーなんて生徒はこのクラスにはいませんよね?」


帰り間際、プリントを配りながらニコニコ笑顔でみんなを見回しているのは、このクラスの担任である真壁(マカベ)先生だ。

癖の強い焦げ茶色の髪と銀縁のメガネが特徴の、いつも優しい笑顔を浮かべている男の先生。ちなみにイケメン。


「……中間テストって、来週だったっけ」


どうしよう、すっかり忘れてたと頭を抱えているのはもちろん私だ。


でもまあ、テストまではまだ数日あるし、いつも一夜漬けでなんとか乗り切れてるし……


「大丈夫、いつも一夜漬けで乗り切れてるし今回も……なんて思っているそこのあなた」

「っ!?」


ギクリと肩が揺れる。


「他の教科は知りませんが、私が担当している英語のテスト、うんと難しくしておきましたので、しっかりと勉強しておいて下さいね」