「柚月、俺のこと……見ててくれた？」
「へ？」
少しだけ息をきらせた彼方は、じっと私を見つめてくる。
「う、うん見てたよ、その、彼方凄くカッコよかった」
「本当、に？」
「本当に」
思ったことを口にする。
さっきの彼方は本当にカッコよかった。
すると嬉しそうに目を細め「……柚月に、カッコいいって言ってもらえた」なんて言いながら、
少し頬を赤くさせて、可愛らしい笑顔を私に見せた。
「また柚月にカッコいいって言ってもらえるように、頑張るから……俺のことだけ見てて」
「おい一色！ 次の試合はじめっから戻ってこーい！」
「あ……じゃあ、行かなきゃだから……後でね、柚月」
「う、うん、また後で」
