「じゃあ、ミルクティーを……」

「ん……分かった」

「あ、ちょっと彼方! お金!」


売店に向かおうとする彼方にお金を渡そうと、カバンに手を突っ込んで財布を掴む。

そんな私の手を制すようにやんわりと包み込み、ぐっと顔を近づけた。


……へ?


「これぐらい、俺に奢らせて……ね?」

「でもっ」

「……どうしてもって言うなら」


「キス、一回」と私にしか聞こえないように、吐息混じりに囁いた。


キ、キ──ッ!?