寝起きでまとまってない私の髪を、彼方は優しく撫で上げる。


「だって、柚月に甘えたままじゃ何も変わらないから」


ちょっ、どうしてここで顔を近づけるの!?


「彼方、あの、顔近い……っ」

「だから俺、柚月に好きになってもらうために、本気出すから」


彼方がベッドに足をかける。

重みでギシリと、ベッドが鳴った。


「あわ、あわわわわっ」


近い近い近いっっ!!


「ねぇ、柚月」

「は、はいっ」




こうして、

超がつくほど無気力な私の幼馴染みは、



「覚悟、してね」



本気になってしまったのだった。