【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。




「大切な幼馴染みで、そうとしか考えたことなくて……っ」

「じゃあこれからは、俺のこと幼馴染みとして、見ないで」

「へ??」


するりと、彼方が私の頬を撫でる。


彼方のことを幼馴染みとして見るな?

ど、どうやって??


「む、無理だよそんなの!」

「無理かどうかは、やってみなきゃ分からないでしょ」

「だって……そんな」

「今さら、ただの幼馴染みに戻るつもりないから」


彼方にしては、ハッキリとした口調。


「柚月は俺のこと、幼馴染みとして大切に思ってくれてる……それは凄く嬉しい。でも」


また、苦しそうな、堪えきれないとでも言うような彼方の表情。


「俺は、それ以上が欲しい。柚月の全部が、欲しい」


「欲張りでごめんね」と呟いて、私をギュッと抱き締めた。