「彼方……?」
「柚月、今日は映画見て終わりだなんて……本気で、思ってる?」
彼方の雰囲気が一気に変わる。
「ちょ、ちょっと待って!」
「んー……どうしよう、かな……でも、柚月があまりにも、無防備だから」
「ひゃあ!?」
ソファーの上にそのまま押し倒される。
ぽわんとした彼方の表情は、まるで酔っているみたいだ。
「いたずら、したくなっちゃうな」
甘ったるい、声だった。
「か、彼方! 私にとって彼方は、私の大切な幼馴染みなの!!」
思い切り声を張り上げる。
すると彼方は少し驚いたように目を開き、私を見つめた。



