「私も彼女のことは気掛かりでしたから」


真壁先生は一年生の頃、月城と近衛のクラスの担任だった。

その頃から月城のことを気にかけていたらしいがどうすることもできず、二年生へと上がったのだ。


それからは俺が月城の担任だと知って、よく月城のことを聞きにきていた。

俺も相談に乗ってもらいつつ、今日やっと月城と近衛は無事に友達になれたらしいと報告。


月城はクラスにも馴染めたことだし、俺としては万々歳だ。


「近衛さんと一色くんもなにかあったみたいですが、先ほど仲良く手を繋いで帰っていたので、なにも問題はなさそうですね」

「手を繋いで……か。青春ですねぇ」


俺の青春はいったいどこに置いてきてしまったのか。


手の中を見ると、それは気付いたらどこかに落としてしまっていた。


「まだお若いのに、なに年より臭いこと言ってるんですか?」

「いえ、俺はいったいどこに青春置いてきてしまったんだろうって思っちゃいまして」

「どこに……ですか。私も、どこに置いてきてしまったんでしょうかね」


早く大人になりたいと思っていたあの頃。


そんなのはどうでもいいから、今楽しめることを全力でやれと怒ってやりたい気分だ。