彼方が私の顔覗きこむ。

顔が近いーっ!!


「俺のこと、意識してくれてる?」

「そ、そそそういうわけじゃ……!」

「うん、焦ってる柚月も、可愛い」


ひゅっと喉が鳴る。


もうどう反応したらいいか分かんなくなってきた……。


「それよりもさ! ほら、早く映画見ようよ! ね!」


堪えきれずに、あからさまに話題を変える。

彼方は「そだね」と一言呟いて立ち上がり、何故か開いている全ての扉を閉め窓を閉め、カーテンまで閉めてしまった。


「? 何で閉めるの?」

「暗い方が雰囲気でるかなって、思って」

「あ、ああ確かに! 雰囲気って大事だもんね!」


今から見る映画はホラー映画だ。

確かに暗い方が雰囲気が出るだろう。