「ねぇ、彼方」 「なに?」 ……──私の幼馴染みの話をしようと思う。 私の幼馴染みはよく寝坊をしていた。 私の幼馴染みはかなりの面倒くさがりやだった。 私の幼馴染みは、なんというか、何事に対しても、全力で無気力だった。 そんな幼馴染みは、もうただの幼馴染みではない。 優しくて、 心配性で、 「ううん、その……大好きだなーって思って」 「……うん、俺も、柚月が大好き」 私の大好きで、 かけがえのない人なんだ。 【END】