ここまで来るのに、どれほどの時間がかかったのだろう。 「……私、ね、最初、彼方に告白された時、一番に思ったのは『幼馴染みの関係を壊したくない』ってことだった」 前に進むのが怖かった。 「居場所を失いたくなかった。ただそれだけだった」 彼方に置いていかれるのも怖かった。 「でも、今はもう違うの」 隣にずっといて欲しいと思った。 でももう違う。隣にいるだけじゃ、もう私は満足できないから。 「居場所なんていらないから、私は、彼方の全部が欲しい」 こんな欲張りな私を、どうか許してね。