【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。




……──ほとんどの出し物や企画展示も、四時になったら一旦終了の放送が学校中に流れた。


その放送を聞いたみんなが、グラウンドへと集まっていく。


後夜祭が、始まるからだ。


「みんな、待たせてごめんなさい!」

「そ、そんな柚月さんが謝ることではないわ!」

「そうだよ近衛クン。そう急がなくてもまだ時間はあるからね」


喫茶店も大盛況で終わりを迎え、エプロンを脱いだ私は三人と合流する。


「それより柚月、大丈夫? 無理してない? 疲れてるなら休んでてもいいよ? 俺一緒にいるから」

「彼方……うん、本当に無理してないから大丈夫!」


凄く心配そうな彼方に笑顔を向けると、「そっか、でも本当にきつかったら言ってね」と優しい声が返ってきた。


「あれ、そういえば彼方、執事服は着替えちゃったんだ?」

「うん、動きにくかったから」


カッコよかったのになぁ……ちょっと残念。


「よし、じゃあ後夜祭行こうか! 去年は行かなかったから、今年こそ行こう!」


後夜祭では生徒会が作った特設会場で、歌やダンス、漫才に落語や大道芸と、毎年いろいろなことを生徒がやっていると鬼龍院くんから聞いた。


去年もかなり盛り上がったみたいだし、楽しみだなぁ!


「近衛クン、一色クン、ちょっといいかい?」


グラウンドに行こうとしたら、鬼龍院くんが私と彼方を呼び止めた。


「? 鬼龍院くんどうかしたの?」

「いや、ちょっと君たちに渡したい物があってね」


渡したい物……?