「クラスが別れて柚月さんとお話できなくなって、寂しくて……そんなわたしのことを、今のクラスのみんなは気付いてくれたの」
「……いいクラスメイトに恵まれたんだな」
鬼龍院くんの言葉に、セレナちゃんはそっと頷いた。
「ええ、本当に……そして協力もしてくれたわ。柚月さんに話し掛けられるように、そして柚月さんにわたしの想いを伝えるために」
「セレナちゃんの、想い?」
「……わたし、柚月さんに伝えたかったことがあるの。ずっと、ずっと、柚月さんに言いたかったことがあるの」
「それって、いつも言いかけてたこと?」
いつもセレナちゃんはなにか言いかけては、また今度でいいからと先延ばしにしていたことを思い出す。
結局今までタイミングがあわなくて、聞けずじまいだったんだっけ。
「まさにそれよ。勇気がでなくて、断られたらどうしようって……ずっと言えなかった」
セレナちゃんは私の両手を、キュッと握り締めた。



