【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。




「……そういうわけで、わたしは柚月さんに救われた恩があるし、柚月さんが優しくて思いやりのある人だと見てればすぐに分かったわ。そんな柚月さんに笑顔でいてほしい、辛い思いはしてほしくないと思うのは当然のことじゃないの?」


なにも言い返すことはないと言うように、彼方と鬼龍院くんは口を閉じた。


「そんなわたしの願いとは裏腹に、ここ最近の柚月さんはいつも辛そうだったわ。一色彼方といる時だけは特に」


セレナちゃんにまで見抜かれていたとは。

私ってことごとく、いろんな人に心配かけちゃってたんだな……。


「そして柚月さんの涙を見て……なにもしない一色彼方を見て、わたしは決心したわ。柚月さんに嫌われてでも二人を引き離してやるって」

「……ごめんね。セレナちゃんにまで私、そんなたくさん心配かけちゃって」

「柚月さんが謝る必要なんてないわ。全てわたしが勝手にあなたに救われて、勝手にあなたのためにってしただけだもの」


「こんなことでしか、柚月さんに話し掛けることもできなかったし」と言って、寂しそうな笑顔を見せた。