【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。




それからちょっとだけ話すようになり、一年生の終わり頃、


『あなたには、その、セ、セレナって呼ぶことを特別に許してあげる! 光栄に思いなさい!』

『じゃあ、私のことも柚月って呼んでよ!』


だけどこの後、二年生に進級してクラスが別々になってしまい、セレナちゃんとお話しする回数はめっきり減ってしまったのだった。




「……わたしのハンカチをわたしの物だと覚えていてくれた。柚月さんだけはわたしを見ていてくれた。それがどんなに嬉しかったか……でも」


キッと、また彼方を睨み付ける。


「柚月さんに話し掛けようとしてもいつも柚月さんは彼方彼方って一色彼方のことばかり! 一年生の頃からあなたは邪魔だったわ!!」

「……そっか。だから月城さん、一年生の頃から俺のことよく睨み付けてたんだ」


彼方がどこか納得したようにセレナちゃんを見た。


「ええそうよ! でもあなたはいつもポケーッとしていて、わたしのことなんて一切眼中にないって感じで、本当に腹が立ったわ!!」


あの頃の彼方は絶賛無気力中だったし、確かにいつもポケーッとしてたな……。