「どう、かな?」
「とってもお似合いよ柚月さん!」
同じ形のブレスレットを私は右手につけて、セレナちゃんと並べてみる。
セレナちゃんは紫。私はピンクだ。
「ありがとうセレナちゃん。大切にするね!」
「ええ、わたしも……大切にするわ」
えへへ~っと二人で笑いあう。
だが、あんまり喋っていてもきっとセレナちゃんの邪魔になってしまう。
他にもたくさんお客さんがいることだし、そんなに長居はできなさそうだなと思い、私は椅子から立ち上がった。
「じゃあ私、もうそろそろ行こうかな」
「柚月さんはこれからどこか用事でも?」
「ううん、特にどこ行こうとかは決まってなくて適当にぶらぶらしてるだけ。ほら、あんまりここにいても邪魔になっちゃうだろうし……」
そんな会話をしていると、セレナちゃんと同じクラスの女の子が、「月城さん、私が交代するから近衛さんと行ってきなよ!」とセレナちゃんに声をかけた。
「え、でも、交代時間はまだのはず……」
「私はもうたんまりと遊んできたから、気にしないで行ってきなって!」
「……ほ、本当にいいの?」
「私もいるから安心してよ月城さん!」
また別の女の子がひょっこりと横から現れる。
「ゆ、柚月さん、あの……ご一緒してもいいかしら?」
「もちろん! 一人じゃちょっと寂しいなって思ってたし、私でよければ」
少し不安そうに私の顔を伺っていたセレナちゃんが、私の返事を聞いた瞬間にいつもの明るい笑顔に戻る。
そのまま先ほどのセレナちゃんに声をかけてきた女の子の方を向き、ぎこちなく頭を下げた。
「あの、その、このお礼はいつか必ず……! 本当に、ありがとうっ」
「どういたしまして。めいっぱい楽しんできてね~!」
そんな感じでセレナちゃんのクラスの人たちに見送られ、私はセレナちゃんと共に、文化祭を見てまわることとなった。



