「明日楽しみだね、柚月」 「う、うん! 映画楽しみ!」 「映画もだけど、ね? 柚月と明日も一緒にいれるから」 「彼方……」 「俺はただ、柚月と一緒にいたいだけ、だから」 お互いの家の前につく。 糸がほどけるように、彼方と私の手が離れる。 「でも、柚月が嫌なら嫌って言って。柚月がダメって思ったら、ダメって言って」 とても、とても、優しい声。 「柚月が好き。だけど押し付けたいわけじゃない。柚月は嫌とも言ってくれないから、俺……調子にのっちゃう」