「んー……と、取れないっ」


棚の上の方にある紙皿の束が取りたくて、うんと手を伸ばす。

あと、あとちょっと!


「無理しないの、柚月」

「あ……っ」


突然、背後から伸びてきた手が、私が取ろうと奮闘していた紙皿の束を取ってくれる。

振り向くと、「はい」と言って紙皿を差し出す彼方がいた。


その服は例の執事服で、カッコよくてドキリとする。


「あり、がとう」

「ん……あんまり、一人で無茶しないでね」

「はい、すみません……って、なんで彼方がここに?」


彼方は執事服を着て、先程まで表で接客をしていたはずだ。

彼方目当てでくる女の子も多いらしく、いろんな子に声をかけられているのを外の窓から見てしまった。


まあ確かにカッコいいし……そりゃ、いろんな子にキャーキャー言われちゃうよね……。