「鬼龍院の言うとおり、今日は凄く疲れただろうから……ちゃんと食べてちゃんと寝て、また元気な柚月を見せてね」


その言葉に「うん」と頷くと、彼方は私の頭から手を離した。


「じゃあね、柚月。また明日」

「……うん、またね」


彼方に背を向け、私は自分の家の玄関に向かって歩みを進めた。


……彼方の言うとおり、今日はご飯を食べたら早く寝よう。


「明日は文化祭なんだし、しっかり休んでおかないとな……」


鍵を出すためにカバンの中を探りながら、ふと玄関の電気がついていないことに気付く。


そうだ、今日はお母さん仕事で遅くなるって朝言ってたような……すっかり忘れてた。

お父さんも出張でいないし……家に一人、か。


ちょっと寂しいけど、こればっかりは仕方ない。