そのまま彼方は、「おいで」と言ってまた私を抱き締める。

さっきよりも少しだけ強く、私を抱き締める。


「柚月の全部が大好きだよ」

「──っ……」


全部なんて、そんな。


「……彼方は、優しすぎだよっ」

「そんなことない。柚月だから、だよ」


私だからだなんて、そんなこと言われたら、その言葉に甘えたくなっちゃうよ……。


「それに、柚月のことを好きになったのって、小学校の低学年の頃からだったし」

「え、そんな前から!?」


って、その頃ってまだ、彼方がバリバリに勉強とか頑張ってた頃で……


私がまだ、ずっと一緒にいるって言ったあの時よりも、ずっと前で……え、えぇえ……!?