「っ!? 彼方!?」
「俺の方こそごめん。今まで柚月の気持ちに気付いてあげられなくて、ごめん」
優しく背中に手をまわされて、抱きすくめるような形で彼方とくっつく。
温かくて心地よくて、ずっとここにいたいと思ってしまう。
けどそんな願いはもう、叶わない。
「離してっ」
「嫌だ」
「離してよ! だって彼方、私のこと嫌いになったでしょ!? なんでこんなこと……」
彼方が好きになった私は、ほとんど嘘で作られたようなものだった。
おまけに私みたいな自分勝手なやつ、嫌いになって当然で……!
「嫌いになんて、なってないよ」



