「……──私は彼方のために、彼方の傍にいたわけじゃないっ!!」


私の叫び声が、教室中に響き渡る。


鬼龍院くんとセレナちゃんの息を飲む音が、聞こえた気がした。


「私は私のために彼方の傍にいたの! 私が彼方の傍にいれば、彼方だって私の傍から離れないでくれると思っただからずっと一緒にいた! 私自身のために!!」


私は一度大きく深呼吸をして、真っ直ぐ彼方と向き合った。


もう、彼方から目をそらす必要がなくなったからだ。


「私には彼方と違ってなにもなかった。そんな私を誰も見てくれなかったし、気にもとめてくれなかった。私はなんでここにいるんだろうって……ずっと、考えてた」


彼方という私とは真逆の存在が近くにいたからこそ、そんな私の考えはどんどんどんどん膨らんでいった気がする。