『柚月だって、きっと俺のことなんてもう必要ないんでしょ? どっかいっちゃうんでしょ?』

『そんなことない! 私は彼方と一緒にいる!』

『嘘だ、そんなの』

『嘘じゃない!』


彼方の手を迷わず握った。

今、彼方には私しかいない。私がこの手を握らなければ、彼方は一人になってしまう。


『どんな彼方だろうが、私は彼方と一緒にいる! 絶対にどこにも行かないから!』


私は、彼方の幼馴染みという立場を利用して彼方の隣に自分の居場所を作り上げた。


彼方のためになにかをすることで、


(彼方には私が必要なんだ。私がいないとダメなんだ)


自分にそう思い込ませ、彼方の隣に居座った。


もう一人は嫌だった。寂しかった。誰かに傍にいてほしかった。誰かに私を見ていてほしかった。


(ねぇ彼方。ずっと一緒にいるから……彼方も、私とずっと一緒にいてね)



そうして私は、彼方に依存していった。